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Entropy 2

Entropy 2

 日本には戦国時代からの古い天守閣が12 カ所ある。僕はこの石垣が好きだ。石垣を組み上げるには多くの経験、知識、技量、体力、意志が必要になるからだ。そこには、見事な建築美が現れる。
 しかし、この美しい石垣にも、世界を均一化しようとする力(Entropy の拡大)が作用する。植物はそこに繰り返し根を伸ばし、風雨や熱や地震が石垣を砕いてゆくのである。
 僕が、今も16 世紀の石垣を愛でることができるのは、人がEntropy の拡大に抗って石垣を修理し続けたからである。
 人が生きてゆくということは、Entropy の拡大に抗うことだと僕は思う。

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